不動産に変えて贈与したほうが、2~3割得

また、現金でなく不動産を贈与することも節税効果が高い。贈与税を計算するときの財産の価格は、通常の取引価格ではなく相続税評価額を用いることになっている。不動産の相続税評価額は場所によって異なるが、通常の取引価格の70%から80%程度。現金で贈与するよりも不動産に変えて贈与したほうが、2~3割得をするのだ。

相続税対策は親の意思がハッキリしている元気なうちに開始するのが理想だ。では節税対策に無関心な親をその気にさせるにはどうしたらよいのだろうか。

「知人などの相続の苦労話を聞かせると、ひとつのきっかけになるかもしれません。相続開始後に遺産分割が成立していないと特例を受けられないこともあります。相続開始後、遺産分割を成立させるためにも、親が積極的に対策に乗り出すことは重要です」(同)

湊 義和
慶應義塾大学卒業後、国民金融公庫(現日本政策金融公庫)入庫。米国留学、本店勤務などを経て、税理士事務所へ転職。1999年湊税理士事務所として独立開業。
 

高橋敏則
1956年生まれ。80年公認会計士二次試験合格後、外資系会計事務所、監査法人を経て、高橋会計事務所を開設。著書に『相続・贈与でトクする100の節税アイデア』など。