国際芸術祭の「接客」はどうあるべきなのか

通常、地域イベントのオペレーションは、現場で起こった問題が、すぐ運営側に伝わり、統一的な対策が練られて現場に情報が戻ってくるのだが、そういった情報の流通経路が通っていないのかもしれない。初めの一週間だと、予期しない顧客対応で混乱するケースも多いのだが、開始1カ月を過ぎてこの状況だとすれば、ノウハウの蓄積がなされていないように感じられる。

「表現の不自由展・その後」が展示中止に追い込まれたとき、運営側は「抗議に対する準備はしていたのだが、想定を超える量が来た」と述べた。さらなる推定にはなるが、上記の通り地域イベントとしての完成度が低いため、「不自由展」に抗議が来た際にも十分な対応が取れなかったのではないだろうか。

9月26日に本稿のため、ベビーカーの貸し出しの仕組みなどを事務局に直接聞こうと思い架電したところ、自動音声で「会話はすべて録音されます」「あらゆる会話は10分に制限されます」という乾いた声を耳にすることになった。

これが訪問を検討していた潜在的顧客だったとすれば、関西弁でいうところの「けったくそ悪いわ」と電話を切ってしまう人もいるだろう。国際芸術祭の接客はどうあるべきなのか。観光学者としては、あらためて運営側に問いかけてみたいのである。(続く)

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