「謝罪になってない」「回収しろ」という声も

昨秋、自民党の杉田水脈みお衆院議員が同性カップルを念頭に「生産性がない」などと主張した文章を掲載して激しい批判を浴び、廃刊に追い込まれた『新潮45』(新潮社)の二の舞かと思われるほどの騒ぎに、恐れをなしたのだろう。ポストは早速、こういう文書を出した。

<週刊ポスト9月13日号掲載の特集『韓国なんて要らない!』は、混迷する日韓関係について様々な観点からシミュレーションしたものですが、多くのご意見、ご批判をいただきました。なかでも、『怒りを抑えられない「韓国人という病理」』記事に関しては、韓国で発表・報道された論文を基にしたものとはいえ、誤解を広めかねず、配慮に欠けておりました。お詫びするとともに、他のご意見と合わせ、真摯に受け止めて参ります。(『週刊ポスト』編集部)>

これに対しても、「謝罪になってない」「回収しろ」という声が上がっている。

テレビでも『モーニングショー』(テレビ朝日系)などが、この問題を取り上げていたから、騒ぎを知っている人は多いと思うが、記事を読んでいない人に向けて簡単にポストの特集内容を紹介したい。

日本の優越性をいたずらに強調するだけのお粗末さ

『週刊ポスト』2019年9月13日号の表紙

特集は2つに分かれている。第1特集の1本目は、「軍事:GSOMIA破棄でソウルが占領される」。たしかに北朝鮮との軍事境界線からソウルまでの距離は、最短距離だと30km前後しかない。だが、ここに出されている例は1950年の朝鮮戦争の時のものである。こんな古い事例を出してきてソウルが危ないとやるのは、担当編集者のお頭の構造が単純すぎるからだ。

2本目は「経済:貿易規制でサムスン、LGは大打撃」。次は、お互いが輸出規制をやっているが、損するのは韓国で、日本の工場を潤すというのだが、現在のようなグローバル経済では、二国間だけで有利不利が決まるわけではない。

3本目は「スポーツ」で、韓国が東京五輪をボイコットすれば、日本のメダルが増えるというものだが、論評以前の内容である。4本目は「観光」で、韓国人旅行者が減っているが、中国の観光客が増えているし、元々韓国人はカネを落とさないから日本は困らないと、子どもが虚勢を張っているとしか思えないもの。このような幼稚な論法で、日本の優越性をいたずらに強調するだけのお粗末な特集である。

第2特集が<怒りを抑えられない「韓国人という病理」>で、韓国人の10人に1人は「憤怒調節障害」で、治療が必要という内容。要はすぐカッとなる民族だから気をつけろ、これが「韓国人という病理」だとしているのである。

一応、「韓国人の誰もがそうした言動を表に出すわけではないことは断っておくが」としながらも、「歪な社会構造に苦しめられる韓国国民の不幸があり、結果として抑えられない怒りの矛先が日本に向けられている可能性がある」と、現在の反日は韓国が抱えている社会構造にあり、そのはけ口として、日本へ怒りが向けられているとしている。