ラグビーではサポーターが隣り合って応援する
もともとラグビーには、自分たちのチームが勝ちさえすれば、あるいはいいプレーをしさえすればそれでいい、といった独りよがりな部分があまりない。
むしろ、対戦するチームやレフェリーといっしょに、いいゲーム、感動できるゲームを作り上げたい気持ちが強く、そういう気持ちが独特の「ラグビー文化」を築いている。
ラグビー選手がレフェリーに対して高圧的な態度を取らず、試合中もコミュニケーションを取り合い、ネゴシエート(交渉)するのも、そういう文化があるからだ。
そこには、今戦っている試合を素晴らしいものにしたいという考えがある。
スタジアムにいる観客も、そういう姿勢を持っている方が多いように思う。
サッカーの試合では、サポーター同士がトラブルを起こさないようにするため観客席を厳密に分けるが、ラグビーでは——特に、ワールドカップのような大会では——それぞれのサポーターが交ざり合い、隣り合って座っている。
そうした、素晴らしい試合をみんなで作り上げようとするところが、ラグビーの面白さだ。
だから、僕たちプレーヤーは、相手が強いチームであればあるほど「頑張ろう」という気持ちになるし、みんなでひとつのエンターテインメントを作り上げると考えているからこそ、試合が終わった瞬間に、負けたチームの選手が勝ったチームの選手に「おめでとう」と言えるのだろう。