旧民主を結集してから、「れいわ」と協議する戦略

枝野氏が変わった理由ははっきりしている。7月の参院選挙で立民が思うような議席を確保できなかったからだ。初めての参院選を改選7議席で臨んだ立民は17議席獲得。躍進したようにみえるが、選挙前には20議席を超えるとの見方もあった。伸び悩んだのだ。

2017年の衆院選でみせた「枝野人気」も、今回は明らかに陰りが見えた。今のままでは「安倍1強」を脅かすことはできないと総括せざるを得ない結果だった。

特に枝野氏が危機感を持ったのは山本太郎氏の存在感だった。参院選での山本氏の人気は、2年前の衆院選で自分に寄せられた期待をはるかに上回るものがあった。

立民と「れいわ」は、脱原発、弱者目線など、政策的に立ち位置が似ている。しかも「れいわ」のほうが、よりリベラルで、より歯切れがいい。つまり「れいわ」は立民にとって強力なライバルとなる可能性がある。実際、「れいわ」が参院選比例区で獲得した228万余りの票は、本来ならば立民に行く票が多く含まれていた。

「数の力」を背景に、参院でも共闘関係をつくる

仮に次の衆院選で「れいわ」と選挙協力ができず、競合することになったら、間違いなく沈んでしまう。

「れいわ」も含む野党共闘を確立するのが唯一の生きる道。しかも自分が主導する形で野党共闘を築きたい。そういう枝野氏の心理を読めば、旧民主党勢力の国民民主と「社会保障」で統一会派を組もうと声をかけた理由が手に取るように分かる。まず、旧民主党勢力で大きなかたまりを作った後、山本氏との交渉に入る考えなのだろう。

そもそも今回の枝野提案が衆院に限定した統一会派を念頭にしている理由は何だろうか。

「れいわ」は参院で2議席確保したが、衆院はゼロ。衆参同時に統一会派を組むということになれば「れいわ」にも声をかけるのが筋だ。しかし、枝野氏はその手は取らなかった。まず「れいわ」のいない衆院でかたまりを作り、その後で「数の力」を背景に「れいわ」のいる参院でも共闘関係をつくる。そういった思惑が透けてみえる。