同じ選挙区に野党が乱立すれば、共倒れになるだけ

ただし山本氏と「れいわ」の前途がバラ色というわけではない。まず難しいのは、野党の枠組みの中での立場だ。

山本氏は、「最も厄介な抵抗勢力」を自任するだけに安易な妥協はできないだろう。このため立憲民主、国民民主などの野党の中には、山本氏の発言を「人気取りのスタンドプレー」と見る向きもある。共闘関係が築けなければ、同じ選挙区に野党が乱立して共倒れになる。そうなれば共通の敵である自民党を利するだけだ。

一方、野党内には「れいわ」との連携に期待を抱く向きもある。そこで野党共闘を優先して、山本氏が参院選で発言していたことと違うことを口にし始めたとしたらどうなるか。参院選で山本氏の訴えに熱狂した人たちは一気に冷めるだろう。

「100人という数字には野党共闘も入ってくる」

山本氏は22日未明の会見では次のように述べ、野党共闘に含みを持たせた。

「消費税廃止は譲らない。しかし、他党が減税ということで舵を切るならば、話し合いの余地はある。一番は、この国に生きる人々のために、本気で仕事をする気があるかってこと。そうなったうえで一緒になれる方とは、一緒にやっていく。政権をとるならば、衆院選には100人ぐらい候補者を立てないといけない。この数字には野党共闘も入ってくるので、立てる場所、立てない場所も話し合いで出るだろう」

社会党の土井氏、民主党の鳩山由紀夫氏、希望の党の小池百合子氏……。野党側からは新党や新しい指導者が次々に誕生して時代をつくったが、人気のピークは長続きしなかった。17年の衆院選でブームを起こした立憲民主党の枝野幸男代表も、今回の参院選では集客力に陰りがみられた。

それらの原因は、選挙では歯切れのいいことが言えても、現実の政治はそう簡単ではないからだ。過去の新党と同じ轍を踏まないためには、どうすればいいのか。山本氏が支持を拡大するためには、他の野党との連携を意識しながら「最も厄介な抵抗勢力」であり続ける必要がある。山本氏の道のりは険しい。

(写真=時事通信フォト)
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