お客に注目されつづける状態を維持する

同時にハード面だけではなく、ソフト面でも妥協しない姿勢が必要です。すでに触れたように、ロゴデザインのディテールにこだわったり、付加価値の高いアミューズメントの導入に心血を注いだり、といった努力を繰り返すことです。

山西 義政『ゆめタウンの男 戦後ヤミ市から生まれたスーパーが年商七〇〇〇億円になるまで』(プレジデント社)

また、目論見通りの店ができあがり、想定していた売上が上がったらそれで終わり、ということではありません。開店時のパフォーマンスを継続して発揮しつづけることができるよう、メンテナンスが欠かせないのです。

メンテナンスといっても、オープン時の状態に戻せばいい、ということではなく、周囲の環境の変化、時代の変化にも柔軟に対応し、常にお客さんに支持され、注目されつづける状態を維持していくということです。いわば“再投資”です。変化を見過ごさず、変化に寄り添う姿勢が必要です。

このように、GMSが業態として成り立ち、収益構造を維持していくための条件を見極め、必要であれば巨額の投資も厭わないこと、そして、お客さんが求めるものをしっかりと捉え、現場で臨機応変に対応していくこと、こうした姿勢がイズミの成長を支えているのだと思います。

山西 義政(やまにし・よしまさ)
イズミ名誉会長
1922年9月1日、広島県大竹市に生まれる。20歳で海軍に入隊し、当時世界一といわれた潜水艦「伊四〇〇型」に機関兵として乗艦。オーストラリア沖ウルシー環礁への出撃途上、西太平洋上で終戦を迎える。戦後、広島駅前のヤミ市で商売の道に進む。1950年、衣料品卸山西商店を設立。1961年、いづみ(現イズミ)を創業し、代表取締役社長に就任。同年、スーパーいづみ1号店をオープン。1993年、代表取締役会長。2002年、取締役会長。2019年5月より名誉会長。西日本各地に「ゆめタウン」などを展開し、一大流通チェーンを築く。
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