常連客のニーズである「カロリーのK点超え」はキープ
一方で以前からのガッツリ食べるメニューは日替わりとして残しているので常連客のニーズ(カロリーのK点超え)はそのままキープできている。このバランス、山田社長の言葉を借りれば以下になる。
「『早い・安い・うまい・腹いっぱい』に“安心”や“居心地の良さ”が加わったのが山田うどん食堂なのです」
約160店舗あるうち、回転看板はもう残り40店舗ほどと聞いて驚いたが、よく考えたらそれも不思議な話である。屋号を変えたのに、まだ40店舗が山田うどんのまま営業しているのだ。大企業なら一気に全部変えてしまうだろう。
でも、それこそが山田らしさでもある。
回転看板が消えていくのは寂しい、やっぱり泣くなぁ
自分の体力に合わせ、できることのなかで最善の方法を探していく。見栄を張らず、派手ではなくてもちゃんと結果を出す。外観を一通りやったら内装にも手をつけ、時間はかかっても確実に、山田うどん食堂への変身を果たす。これまでスタッフのおばちゃんに任せきりだったマニュアルのない接客術も少し見直す方針で、今後は人材の確保こそが命運を握ると考えている。
2年目に入った第二の創業プロジェクト。もう引き返せない。だからますます目が離せない。
山田ファンの一人として、回転看板が消えていくのは寂しい。でも、それは避けては通れない道なのだろう。最後の1基が廻るのをやめるとき、僕はその場にいたい。たぶん泣くなあ。なんで山田のかかしに泣かされなくちゃならないんだと思いながら、やっぱり泣くなあ。
1958(昭和33)年、福岡県生まれ。法政大学卒。フリーターなどを経て、ライターとなる。主な著書に『裁判長! ここは懲役4年でどうすか』『裁判長! おもいっきり悩んでもいいすか』などの「裁判長!」シリーズ(文春文庫)、『ブラ男の気持ちがわかるかい?』(文春文庫)、『怪しいお仕事!』(新潮文庫)、『もいちど修学旅行をしてみたいと思ったのだ』(小学館)など。最新刊は『町中華探検隊がゆく!』(共著・交通新聞社)。公式ブログ「全力でスローボールを投げる」。