さらに清水氏は、そうした「質問」を落とし込んだフォーマットをあらかじめつくっておくよう勧める。「報連相はスキルです。下手な人はスキル不足なだけなので、そこを補えるフォーマットがあれば徐々に上達します」。それでも、どうしても悪い話は言いたくないという心理が報連相を遅らせることもある。そんな場合も、「報連相はリスクマネジメントの手段と位置づけるべき」と清水氏は言う。清水氏が率いるチームでは、気づいたリスクはすべて定期的に報告するようメンバー全員に義務づけていたという。「悪い報告をあげても評価が下がることはない、としっかり伝えていました」。
「合作」でダメ出しを回避する技
メモ、繰り返しで執拗な上司を回避
ひと口に「上司の話が長い」といっても、いくつかのパターンがある。考えながら話すために長くなってしまうタイプに濱田氏が勧めるのはメモ魔になること。「目の前で黙ってメモをとることで、発言にブレーキをかけ、結果的に話を短く終わらせることができる」というわけだ。また、いつもそうしていると、「あいつはいちいちメモをとるから、少しまとめてから話そう」と考えてくれるかもしれない。
また別のパターンとして、部下が「わかっていないのではないか?」と疑い、執拗に説明を続ける上司もいる。「このタイプにはしっかりリアクションをすることが肝要。しっかり目を見て聞き、相手の重要な言葉を繰り返すといい」。きちんと受け止めているという印象を与えれば、安心して話を切り上げてくれる。
話が長いだけならともかく、ダメ出しの多い上司も部下にとっては付き合いづらい。特にバッチリ完成させたつもりのアウトプットにダメ出しされると、やり直しの時間が無駄になるばかりか、心理的なダメージも大きい。そこで濱田氏は、いち早く「完成予想図」を見せるべきだと言う。例えば、現状の課題は何と何で、解決策としては、どういったことが考えられ、進行スケジュールと予算はこれぐらい、といった具合に、業務の進め方などをメモして確認してもらうのだ。「指示を受けた15分以内で、できる範囲で簡単なものでいいからいったん見せる。早く言わないと上司は忘れてしまいますから」。その場で、「ここは違うだろう」などと指摘されたらしめたもの。上司の意見を引き出して、「合作」にしてしまうチャンスだ。そうなれば後からダメ出ししづらくなる。
なお、三木氏は応用編として、「話が長い・ダメ出しが多い上司は、自分の上司の期待に応えるために試行錯誤している可能性もある」と指摘する。つまり上司自身が確信を持てずに迷っているのだ。そこを汲み取り、上司の上長の視点も勘案できれば、無駄なダメ出しを回避できる可能性がさらに高まるという。
一方で清水氏は「ダメ出しが多いのは、自分が信頼されていない証拠。信頼残高を高めるべき」と指摘する。