大半の人が結婚にまつわる「セレモニー」は行う

そもそも結婚式自体を行わないカップルもいるが、「結婚総合意識調査2018」(リクルートブライダル総研調べ)では、結婚を機としたセレモニーを行った人は「85.6%」だった。その中身は「披露宴・披露パーティー55.7%、親族中心の食事会17.0%、挙式9.2%、写真撮影3.6%」となっている。写真撮影はまだ小さいが、リュクスは「不満あるところにビジネスあり」を地で行くケースといえよう。

写真提供=リュクス

「遠方の客をどう取り込むか」は課題

リュクスの撮影事業にも課題はある。ひとつは納期の長さだ。開始時は撮影からアルバム納品まで約4カ月かかった。現在は約2カ月に短縮されたが「目標は1カ月半」(海野氏)という。納得するまで顧客とすり合わせるので、それ以上の短縮は難しそうだ。

ちなみに、お客が申し込みに至るまでのやりとりはメールが主体で、電話を加えた成約率が全体の9割を占める。首都圏や隣接する南東北ならともかく、ほかの地域からでは茨城県は遠いので、「現地を視察してから撮影」とはいかない。それも今後の課題だという。

「撮影を希望されても、茨城県までの距離の遠さであきらめる方が一定層おられます。有望市場の近くに拠点を設けるなど、『出向く』ことも考えています」(海野氏)

人気となり、ビジネスモデルを模倣する競合も出てきたが、「当社は結婚式を数多く行ってきた知見がある」と海野氏は自信を示す。現在、申し込み客の2割弱は「既存客からの紹介」で比率は年々上がってきた。美的写真の市場は、さらに勢いを増しそうだ。

高井 尚之 (たかい・なおゆき)
経済ジャーナリスト/経営コンサルタント
1962年名古屋市生まれ。日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。
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