社会保障制度改革の先送りは許されない
安倍首相は、昨年10月の改造内閣発足に当たり、今後3年で「全世代型社会保障改革」を断行すると表明した。2022年から団塊世代が順次75歳となり、医療や介護の必要性が高まる後期高齢者になっていくことを踏まえると、社会保障制度改革はもはや先送りが許されない。大きな改革をやろうとすれば、残された時間は少ない。
同時に、20歳代、30歳代での消費性向低下に示されるように、若年層は強い将来不安を抱えているだけに(図表3)、抜本的な改革が打ち出されなければ、現役世代の慎重姿勢は一段と強まり、経済成長もおぼつかなくなってくるだろう。幸い今年は夏に参院選が予定されている。この参院選に向け、社会保障制度をいかに持続可能なものに改革していくか、本格的な議論を行っていかなければならない。
日本総合研究所 調査部長兼チーフエコノミスト
1967年、東京都生まれ。90年東京大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)入行。94年4月より(株)日本総合研究所調査部に出向。その後、為替市場・内外金利、内外マクロ経済等を担当。2011年、マクロ経済研究センター所長。2017年7月より現職。