「痛み」は現場だけでなくみんなで分かち合う

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今後、管理職は「成果実績」で処遇される

一方、「本当の危機のときには、安易に人事を動かしてはいけない」と話す経営者がいる。

スズキの鈴木修会長兼社長だ。

「危機が到来したとき、何より大切なのはチームワーク。多少のムダがあっても、全社で心を一つにしなければならない。信賞必罰、若手抜擢などは、会社に余裕があるときにやるべきこと」

社員に少しでも疑心暗鬼があっては、今回の経済危機は乗り越えられないと言わんばかりだ。スズキの今3月期の連結営業利益は、前期比55%減の670億円を見込む。自動車各社が赤字に転落するなか、黒字を確保する。インドと国内の軽自動車販売が健闘したためだが、「4月以降はどうなるのか、皆目見当がつかない」(鈴木会長)状況だ。

このため2月から、特定の工場の4000人を対象に一時帰休による賃金減額を始めていたが、これを間接部門にも同月から拡大。ディーラー出向の営業などを除く6000人が加わり、一時帰休扱いは従業員(単体)の6割に当たる1万人となった。さらに、役員報酬削減も実施、鈴木会長の月額報酬も30%カットされる(いずれも予定は3月まで)。

「生産現場だけが犠牲になるのではなく、痛みをみんなで分かち合わなくてはいけない」と鈴木会長。

経営者の判断により、会社別に出世の構造は変わっていく。出世による格差も、勤務先によりマチマチだろう。しかし、これからどう生きていくのか、判断が本当に求められているのは、サラリーマンのあなた自身である。