▼面接の最新傾向 質問内容は年々難易度が上がっている
学校創設の歴史まで遡り共感できるか
最近の就職面接では、圧迫面接より学生の本音を聞き出そうとソフト路線に転向する傾向がある。小学校受験にも最近のトレンドはあるのかという問いに、飯田氏は「いつの時代も問われるのは、家庭の教育方針、そして学校を真に理解したうえで、ぜひとも入学したいと思う熱意があるかどうか」だという。
「そもそも私立学校には創立者が掲げた理念と、連綿と積み重ねられた歴史の厚みがあります。基本的に学校方針や家庭に求めるものがガラリと変わることはありえません。ただ社会全体がグローバルで多様な人材を求めるようになった以上、私立も広く世界で活躍できる人材を輩出したいと考えます。それに伴い面接の仕方も、より家庭の本音を見抜きたいと工夫を凝らすようにはなりました」(飯田氏)
各学校が求める子どもの像は、学校説明会やパンフレットなどに示されており、わが子の資質や求める将来像と合致するか、十分読み込む必要があるという。
例えば東京女学館小学校では「すずかけ」と「つばさ」をテーマに掲げるが、これはスクールツリーの「すずかけ」で日本の伝統的価値観・文化継承を、「つばさ」の言葉で国際的に羽ばたける女性を育成するというメッセージでもある。また、特別な宗教色を打ち出していない学校でも、その背景をよく理解することは肝心だ。
「日本女子大学附属豊明小学校や、最近人気の洗足学園小学校などは、直接キリスト教色は表に出していません。でも創立者は敬虔なクリスチャンであり、あえて宗教色を前面に出さなかったのにはそれなりの理由があるわけです。もちろんそこまでは面接で聞かれませんよ。
でも単に『知り合いのお嬢さんがこちらの学校出身でとても素敵な女性に育ったので』といった志望動機しか話せない親か、学校創設の歴史的背景や根底にある精神まで理解して面接に臨んでいるのか、学校側にはしっかりと伝わります」(飯田氏)
妻や夫がその学校出身者である場合でも必ずしも有利に働くわけではない。むしろ配偶者が学校の理念を理解していなかったり、出身者が学校の理念を体現した存在に成長していなかったりすれば、面接官の目は厳しくなる。