具体的にいうと、「あそこの店主は店員と不倫関係にある」と個人のプライバシーを暴くような書き込みは公共性がないためにアウト。嫌がらせで「早く潰れろ」と連続投稿するようなケースも、目的に公益性がないとみなされる。

ただし、「通常のグルメ批評であれば、刑事事件として立件される可能性はほとんど考えられない」と宮本弁護士。

「一般的に飲食店は公衆を相手に商売しているので、料理やサービスに関するレビューは利害公共性があると考えられます。また目的公益性に関しても、個人的な嫌がらせや復讐心であることを証明するのは現実的には難しい場合もあるでしょう」


訴えられるリスクの高い「口コミ」とは?

ちなみに民事での損害賠償も同じ枠組み。店に損害が発生しても、内容が真実で公共性があり、目的に公益性があれば、賠償請求は認められない。

ならば辛辣な意見を書かれた飲食店側は、黙って見ているしかないのだろうか。

「言論の自由は守らなくてはいけません。なかには言いがかりに近い評価があるかもしれないが、いい加減な言論は、結局世間から信用されずに淘汰されていくもの。一喜一憂しないほうがいい」(同)

口コミサイトの多くは投稿者がほかにどのような投稿をしているのかを閲覧できるため、適当なことを書き込んでいる人はすぐにわかる。ユーザー側も、自分の書き込みが皆に評価されるという覚悟を持って投稿したほうがよさそうだ。

(ライヴ・アート=図版作成)