政界で「最も恐れられている政治家」二階幹事長
長く権勢をふるう2人の「裏の目的」とは何か。自民党中堅議員は「結局は官房長官と幹事長の主導権争い。どちらにつけば今後もよいのかを誇示しあう戦いだ」と見る。12年12月の第2次安倍政権誕生から官房長官の椅子に座り続ける菅官房長官は「選挙も仕切る番頭」として各種選挙の裏舞台にたびたび「登場」してきた。翁長氏に大敗した4年前の沖縄県知事選や名護市長選も裏で仕切り、「幹事長泣かせの政府高官」と揶揄されたこともある。
その「官邸のドン」も18年12月に古希を迎える。一般的には定年して老後生活を楽しむ年だが、政界ではまだまだ影響力を持ち続けたい年頃だ。しかしその願望の壁になりかねないのが、政界で「最も恐れられている政治家」二階幹事長だ。
かつては小沢一郎自由党代表の側近として知られ、自民党離党後約10年ぶりに復党すると「出戻り組」としては異例の要職を歴任。16年8月には自民党史上最高齢で幹事長に就任したのだ。
変幻自在といわれる「永田町のドン」の言動は、党本部を留守にしがちな安倍首相も気になる様子で、防衛相時代の言動が問題視された稲田朋美衆院議員を政調会長に起用した際には「二階さんのところには足しげく通うように」と指示したという。幹事長に次ぐ幹事長代行に最側近の萩生田光一衆院議員を就けている。「安倍首相は『変化に敏感』な二階氏の動きが気になって仕方がない」(自民党ベテラン議員)というわけだ。
とはいえ、安倍首相は15年総裁選で「無投票再選」のレールを敷いたことや、総裁任期延長に尽力した二階氏の貢献を高く評価。18年6月の新潟県知事選を徹底的な組織戦で勝利に導いた手腕も買っており、今や「永田町のドン」は政権維持に欠かせない存在といえる。