また、社内政治は日本の会社に限ったことではなく、かえって外資系のほうが激烈だ。外資系は転職者が多いとはいえ、生え抜きの集団や創業者に親しい人たちが重要なポジションを占有していたり、優秀なチームを抱えていたりするといったことは、当たり前のようにおこっている。

成果を出すとは「与えられた数値目標を上回ること」

そして、会社全体の業績が悪化した時には、日本の会社よりもドラスティックにボーナスは吹っ飛んでいく。個人がいくら頑張っても「ない袖は振れない」といわれればそれまでだ。

「結果をだせば……」とは、正確に言えば「与えられた数字目標を上回れば」ということである。私がNTTデータで「課長」だったころ、もう20年も前の話だが、数字が足りなくても先進的な案件や有名顧客の案件を受注すれば、それで評価されることも多かった。外資ではそうはいかない。

確かに質的な評価も大切だが、評価項目のリストの中にそのような項目がなければ昇進やボーナスにはまったく影響されないのが、外資系企業だ。ディレクタークラス以上であれば基本的には担当領域の「売上」と「利益」、若手のコンサルタントであれば「ユーティライゼーション(稼働率)」。これが評価でのウエートが最も大きい。

まずは、こういう数字の目標をクリアすることで出発点に立てる。新卒から外資系に入った人たちには当たり前の話だが、日本企業からキャリアをスタートさせた人たちからすれば、頭でわかっていても、体がついていかなくなる。外資系企業のジャパンオフィスで初めて大手企業の仕事を受注しても、数字が足りなければボーナスはもらえないということになる。

特に日本の会社から外資系に転職する若手層が一番多くぶつかる壁が、この「ユーティライゼーション」だろう。この点は、改めて次回、ケースを交えて解説したい。

「世界を土俵に仕事をする」というけれど……

外資企業のジャパンオフィスは、当然、日本市場を担当する。だから顧客は日本企業か外資系企業の日本法人。つけくわえると、日本企業の海外現地法人の仕事が自分たちのテリトリーとなるかどうかは、会社によって異なる。

特に会計法人系のコンサルティング会社(デロイトやPWCなど)は、少しずつルールは変わりつつあるが、テリトリーのほうが重要視されている。だから、例えば、日本企業の米国現地法人の仕事は米国本社の担当であり、売り上げも日本にはあがらないことが多い。