継続のためには、もっと明確な目的を持つ必要があります。勉強をすることによって将来、大きな所得を得たいのか? 資格を取りたいのか? あるいは、いまの仕事に関する最新の情報を得ることなのか? それとも、自分の経験を多くの人に知らせることなのか? 目的は、明確で具体的なほうがよいのです。イメージとして描けるようなものがよいのです。
勉強して得た知識を活用して、退職後の収入源を確保する。会社で新しいプロジェクトを提案して、立ち上げる。会社の仕事を続けるかたわらで、副業を始める。うまくいけば、起業する。こうしたインセンティブがあれば、途中で挫折することはないでしょう。
目的とインセンティブを持つにあたっては、「できることと、できないこと」の見極めをつける必要もあります。「ノーベル賞を取れるような能力を獲得すること」を実現するのは難しいでしょう。しかし、資格試験なら、多くの人が合格しているのだから、努力すれば可能性は高いと考えられます。
目標の水準は低すぎても意味がなく、そうかと言って高すぎても、単に大風呂敷を広げるだけのことになります。「可能か不可能か」の見極めは大変重要なことなのです。可能ということが分かっていれば、挫折しません。
2.強いインセンティブを持つ
勉強を進めるためのインセンティブの基本は、向上心です。あからさまに言えば、「勉強をして自分の社会的地位を向上させたい」という欲求です。
こう言ってしまうと、「あまりに功利的で身も蓋もない」と批判されるでしょう。しかし、私はそうは思いません。真理の追求を目的として勉強している学者を別とすれば、多くの人は実利を目的として勉強しています。そして、その実利とは、「社会をよくする」といった類の抽象的で利他的なものではなく、もっと利己的なものです。
直接の目的が金儲けであってもよいのです。ドイツ人の考古学者、ハインリッヒ・シュリーマンが独学によって18カ国語をマスターしたのは、それが楽しかったからでしょうが、外国語ができれば外国で仕事ができるという考えもあったでしょう。実際、彼が戦時下のクリミアやゴールドラッシュのカリフォルニアでビジネスをして富豪になったのも、外国語ができたからです。そして、その先には、資金ができたら遺跡の発掘をしたいという夢があったのです。