W杯ロシア大会のスポンサーに中国企業が続々名乗り
このFIFAの収入(W杯の運営)を支えているのは、前述した通り試合の中継を行う各国の放送局とスポンサーとなる企業だ。放送局の多くは放映権料の高騰に悩んでいるが、視聴者の大多数が中継を望んでいるし、高視聴率=広告収入も見込めることから撤退することはできない。
日本では第1戦の視聴率(ビデオリサーチ・関東地区)が平均で48.7%、瞬間最高が55.4%、第2戦は0時開始という深夜帯だったにもかかわらず平均で30.9%、瞬間最高で37.1%という驚異的な数字になった。日本代表が快進撃を見せなければ、とてもこの数字は望めなかったわけで、JCに参加した放送局は胸をなで下ろしていることだろう。
一方、スポンサーに名乗りを上げた企業は今大会から様変わりした。特徴的なのは、代表チームが出場していないにもかかわらず、中国の企業が多数名を連ねていることだ。
以下が、今大会の3カテゴリーのスポンサーだ。
コカ・コーラ、アディダス、VISA、現代自動車グループ、カタール航空、ガスプロム、大連万達グループ
●ワールドカップスポンサー
バドワイザー、マクドナルド、海信(ハイセンス)、蒙牛乳業、Vivo
●リージョナルサポーター
(欧州地域)
アルファ銀行、アルロサ、ロステレコム、ロシア鉄道
(アジア地域)
ダイキング、LUCI、ヤディア
(アフリカ地域)
エジプト政府観光局
▼ソニーは前回までオフィシャルスポンサーだったが、現在は撤退
コカ・コーラは1978年から11大会連続でオフィシャルスポンサー(FIFAパートナー)を務めているW杯とは切っても切れない企業。アディダスは6大会、韓国の現代自動車グループは5大会、VISAは3大会連続でスポンサーとなった。かつては日本の富士フイルム、JVC(日本ビクター)、キヤノン、そして前回までソニーがオフィシャルスポンサーだったが、現在は撤退している。
今大会から最も契約金額が高いFIFAパートナーになったのはカタール航空、大連ガスプロム、大連万達グループ(ワンダ)の3社だ。いずれも日本では聞き慣れない企業だが、どんな企業なのか。
ガスプロムはロシアのエネルギー会社で、ホスト国の企業としての務めを果たした形だ。また、カタール航空は次の開催国カタールの企業だ。
注目は大連万達グループだ。不動産業で急成長を遂げた中国企業で、映画産業、商業、金融、ITなどにも進出している。そして今、さらなる成長を期し事業のグローバル化を推進している。そのためのアピールと知名度アップにはW杯の最上位スポンサーであるFIFAパートナーになることが必要であり、大きな投資をしたわけだ。