一方、基礎控除は現行では一律38万円(住民税は33万円)であるが、改正後は一律10万円引き上げて48万円(住民税43万円)になる。だが、年収2595万円(給与所得2400万円)超の高額所得者は基礎控除額が逓減し、年収2695万円(給与所得2500万円)超の人はゼロになる。
全体的に増税感が漂う印象があるが「給与所得控除の見直しで控除額が減少しても、基礎控除が上がるので年収850万円以下の人の税負担は変わりません」(野田氏)。
では、年収850万円超の人はどのくらい増税されるのか。
野田氏の試算によると、年収900万円の場合は所得税・住民税の合計は、改正前が155万1000円、改正後は156万7000円になり、1万6000円の増税になる(社会保険料等は控除せず、所得控除は基礎控除のみ)。
ただし、今回の改正では「同一世帯内に23歳未満の扶養親族または特別障害者控除の対象となる扶養親族がいる者」、つまり子育てや介護をしている世帯に対して負担増を生じさせない「所得金額調整控除」を設ける予定になっている。具体的な中身は現段階では未定だ。
野田氏は「13年以降、高所得者が増税になる仕組みになっています。その一方で、配偶者控除と配偶者特別控除の見直しで、控除が適用される妻の年収の上限が引き上げられるなど、政府の働き方改革を後押しする税制になっている」と指摘する。専業主婦世帯や単身世帯にとっては今後も増税圧力が高まる可能性もあるので制度変更を注視する必要がありそうだ。