擬音や擬態語、抽象的表現を駆使した「文学」
【難易度★★★★☆】
▼「“美健素材”のチカラで毎日をイキイキと過ごす!」
先日知人にもらったサプリのパッケージを見ても効果がまったくわからないので商品名で検索したところ、上記のような「美健素材」なる抽象的な表現が出てきました。主な成分には、胡椒の一種であるヒハツ、沖縄県産やんばる生姜などが配合されています。これらがすなわち、美健素材のようです。
▼「頭への“ごちそう”となる特別な栄養食品」
癒し系のショップのカタログで発見しました。「頭へのごちそう」とは「頭髪」なのか「脳」なのか素人にはわかりません。Kリゾレシチンという成分を検索したら「認知症やうつ病の予防」と出てきてやっとわかりました。
▼「『捨てる』から生まれる、美しさ。これからの大人のエイジングケア」
大手サプリ店のカタログ。サプリで体内断捨離ができるのでしょうか。想像力を刺激します。調べたけれど結局何を捨てるのかわかりませんでした。
【難易度★★★★★】
▼「スッキリ生活を始めましょう!」
大手食品会社のサプリのカタログ。このカタログの中には一切「花粉症」という単語は出てこないのですが、熟読すると花粉症やアレルギー対策のサプリだということがわかってきます。購入者の喜びの声も「毎年春が一番辛いんです」「もうティッシュがなくても慌てません!」「季節の変わり目にはいつも悩まされます」「朝からモワーッとして仕事に集中できなかったりする日も……」と、絶対「花粉症」と言わずに表現するという高度なテクニックがたくさん見受けられました。何のためのサプリかわかった時は充実感すらありました。
以上、サプリの抽象的すぎるポエムをご紹介しました。
擬音や擬態語、抽象的表現を駆使したサプリのコピーは文学的でもあります。少し調べましたら、こうしたポエム化の流れは2014年に薬事法が薬機法へと改められたことでさらにその技巧が進化したようです。ただ、文学的になればなるほど現実離れしてしまい、効果が薄らぐような気も……。ある程度効能がはっきり書かれていたほうが脳にインプットされてプラシーボ的にも効果がアップするように思います。
そして、コピーを深読みできないとサプリを選べないので、知的レベルで健康が左右されるのではないかと若干心配です。逆に言えば、サプリのコピーで脳トレができて、国語力が鍛えられるかもしれません。サプリは飲むだけでなく、そのパッケージやカタログまでしっかり有効利用したいです。
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