海外で結果を出した人の言葉を受け止めるべき
――WAOJE東京の毎月の勉強会は、第2回(6月)は羽田空港株式会社の副社長に就任した大西洋氏(元三越伊勢丹社長)、第3回(7月)は日産の志賀俊之氏(元COO・代表取締役)など、大企業のトップ経験者で、なおかつ海外ビジネスの現場を熟知する方を招聘しています。なぜでしょう?
森川:ふたつ理由があります。ひとつは、われわれの先を歩いた先輩で海外に投資をして結果を出した方たちの言葉をちゃんと受け止めないといけないと思います。海外事業を一から立ち上げた人の思いや、政府とどんな交渉をしたか、どんな言葉を語ったのかなど、直接聞くことは、われわれ起業家にとってプラスになるだろうと思います。
もうひとつは、海外で起業している人たちの中に、発想や規模がいわゆる中小企業の域にとどまっている人がいるからです。グローバルに市場をとらえるとはどういうことなのか、大企業のトップとの戦い方、発想の仕方などに触れてほしいなと思います。
勉強会で終わらせるつもりはない
――最終的にWAOJEは、なにをめざすのでしょうか?
森川:知り合いと友達の違いとは何なのかと考えると、知り合いレベルでは助け合うことはありません。友達なら、助け合いますね。
僕はWAOJEを勉強会で終わらせるつもりはありません。新しいムーブメントをつくれるようなパワーにしたいと考えています。そのためにも、会員同士、単なる顔見知りではなくいっしょに闘う仲間になりたいです。だから、勉強会のあとにはみんなでごはんも食べてお酒を飲んで、本音でつき合います。泥臭いようですが、そういうことが実は意外に大事じゃないかなと思います。
僕は、日本人が世界で活躍できるひとつの手段は「起業」だと考えています。でも、実際には僕も経験していますが、同じサービスでも国や地域などにより受け入れられるところもあれば、うまくいかないところもあります。海外での苦戦も、ネットワークで乗り越えられることだって今後はあり得ます。
「起業」をめざす人たちが海外で活躍するためには、情報の共有や協力など、横のつながりは極めて重要です。その横のつながりをつくるひとりひとりの関係性は、単なる知り合いレベルではなくて、一緒に闘う仲間でなくてはダメなんです。WAOJEが、海外をビジネスの場とする起業家たちのプラットフォームになればいいと考えています。
C Channel社長
1967年、神奈川県生まれ。89年、筑波大学卒業後、日本テレビ放送網に入社。コンピュータシステム部門に配属され、ネット広告、映像配信、モバイルなどの新規事業立ち上げに携わる。MBAを取得後、2000年にソニー入社。03年にハンゲーム・ジャパン(現LINE)入社。07年、同社代表取締役社長に就任。15年3月、同社代表取締役社長を退任し、顧問に就任。同年4月より動画メディアを運営するC Channel代表取締役社長。
三宅 玲子(みやけ・れいこ)
ノンフィクションライター
1967年熊本県生まれ。「人物と世の中」をテーマに取材。2009~2014年北京在住。ニュースにならない中国人のストーリーを集積するソーシャルプロジェクト「BilionBeats」運営。