何かやましいことでもあるのではないか
安倍首相は加計学園の計画を知ったのは「2017年1月20日だ」と繰り返す。加計理事長と古くからの親友である以上、加計理事長から何らかの便宜を期待されても不思議ではない。逆に便宜を期待されない方がおかしいともいえる。
ただ何らかの便宜を頼まれたとしてもそれをきっぱりと断っていれば問題はない。それなのに行政の文書(加計新文書)と大きく矛盾してまでも、最初の答弁にこだわって変えようとしない。
もし最初の答弁が違っていたのだとしたら「私の勘違いでした」で済むはずだし、国民も野党もそれで納得するだろう。
安倍首相がかたくなに「2017年1月20日」を主張すればするほど、何かやましいところでもあるのはないかと勘ぐってしまうのだ。問題はそこにある。
安倍首相だけではない。
国会から参考人招致を受けた柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)も、証人喚問された佐川宣寿前国税庁長官も、新たな公的文書が次々と出てきて最初の答弁がウソだったことが暴露されている。
安倍首相も後を追うことになるのではないか。初の米朝首脳会談も近いし、北朝鮮は日本や米国に揺さぶりをかけてきている。
そんな重要な時期に内閣総辞職ではどうしようもない。安倍首相にはそうなる前にうまく動いてほしい。それが政治家だろう。
安倍首相の答弁がウソと強調したい朝日
持論を交え、安倍首相や安倍政権を批判したが、新聞の社説(5月23日付)も読売新聞を除く全国紙すべてが、今回の加計新文書を社説のテーマに取り上げて安倍首相を厳しく批判している。
その筆頭は朝日新聞である。
「安倍首相の国会答弁の信憑性にかかわる重大事態だ」と書き出し、「首相はこれまで、学部新設を知ったのは、正式に決まった17年1月だと繰り返してきた。県の文書が事実なら、その2年前から知っていたというにとどまらない。『加計氏と獣医学部の話をしたことはない』という説明も偽りだったことになる」と指摘する。
朝日は安倍首相の答弁や説明がウソだと強調したいのである。
2人でこっそりと会ったのかもしれない
朝日社説は「官邸への出入りの記録は残っていないという。新聞が報じる首相の動静も、記者が確認できたものに限られる。気づかれずに会う手段はある。会っていない根拠の提示は全く不十分だ」とも指摘する。
加計理事長と安倍首相は古くからの親友だ。朝日社説の指摘のように2人でこっそり会うことはいくらだって可能だ。
さらに朝日社説はこうも書く。
「首相も学園もともに、面会の事実を否定しているが、リスクを冒して虚偽のやりとりを書き留める動機が県職員にあるとは思えない」
「県の文書の中には、首相との面会に先立ち、学園関係者が、当時、官房副長官だった加藤勝信厚生労働相と会った記録もあった。加藤氏はこの面会を認めており、文書の正しさの一端を示したとも言えよう」
こうした朝日社説の指摘も理解できる。