豪快な曲で家事の一仕事
子育て中で、家に帰ったほうがゆっくりできないわという、ママ経営者にはこんな曲もおすすめだ。帰宅し玄関の鍵を開けながら、冷蔵庫の中を思い出し、夕飯の献立と明日のお弁当の食材が足りるかどうか計算しながら、ただいまもそこそこに、台所に立つママ。
冷蔵庫から野菜を出しながら「今日はどうだったの?」と子供に問いかける。宿題はしたのか、忘れ物はしなかったか、明日急にラップの芯持っていくとか言われてもほんと困るし、体操服は雨で乾いていない。
こんな時にクラシック音楽なんてゆっくり聴いてはいられない。オーディオプレイヤーまで行く暇があったら、鍋の一つも火にかけたい。余裕なんてどこにもないのだ。そんな時こそ、10秒でいいから料理の手を止めて、スマートフォンで音楽を再生し、キッチンのカウンターにでも置いてほしい。
仕事の疲れと、家庭での役割に翻弄されている今の自分を、どうせなら大げさに楽しめる楽曲をかけてみる。こんな場面にふさわしいのは伊福部昭作曲の「怪獣大戦争マーチ」だ。怪獣? クラシック? と思うことなかれ。伊福部昭は、クラシック音楽を学ぶ人が必ず手に取るバイブルである『管弦楽法』を執筆した、紛れもない大作曲家である。
この勇ましい曲を聞きながら、ぜひ夕飯を勢いよく作ってほしい。繊細な料理には似合わないから、豪快に鍋を振るホイコウロウあたりが良い。肉も野菜も採れる。今日はこれでよし。ラップの芯がどうしてもいるなら、この曲に合わせて、アルミ箔をひっぱりだせばいい。大丈夫。ラップフィルムじゃないから後でまた使える。体操服が生乾きでも、そのまま持って行かせればよいのだ。
怪獣戦争的にバタバタしている自分をこの曲でさらに盛り上げよう。目の前にいるのは愛すべき小怪獣たちだ。この騒々しさをいっそ楽しもう。伊福部先生のおかげで今夜もなんとか頑張れました! 今日の最後の力を振り絞って、夜の家事を終わらせた自分に、最大の賛辞を!