不動産コンサルティング会社についても、「残高を改ざんする専用ソフトがある」「スルガ銀行の担当者もすでに承知している」などと原告に告げて年収資料や預貯金残高を改ざんし、本来なら原告が投資することのできない高リスクの投資物件に投資させたと指摘。「違法性を有し、故意による不法行為責任を負うことは明らかだ」とした。

ある原告の預貯金残高の資料は、本来は50万円だったにもかかわらず、不動産コンサルティング会社が4千万円に改ざんしてスルガ銀行に提出したという。一方、スルガ銀行は融資審査で改ざんされた資料を受けとり、保存しているとみられるが、それらを開示するよう求めても「1か月以上、全く応じる気配がない」(加藤弁護士)という。

会社法に基づく責任追及も

もし今回の損害賠償請求が認められない場合、会社法429条に基づく取締役の任務懈怠(会社の取締役などがその業務を誠実に行わないなどの状態)を追及し、販売会社などに対しては善管注意義務違反(能力・社会的地位などから考えて通常期待される注意義務)を理由とする損害賠償請求を行ったり、キックバックなどの不当利得返還請求をしたりすることを検討するという。

この問題では、オーナーとなった会社員らに破産者が続出しかねない深刻な事態になっている。「長期の家賃保証」をうたうスマートデイズを信じ、多くの会社員は賃料収入を頼りにしてスルガ銀行から多額の融資を受け、シェアハウスを建築。1億円超の融資を受けた会社員も珍しくないとされる。賃料収入は2018年1月に一方的にゼロにさせられた。

取材:弁護士ドットコムニュース記者 下山祐治
早稲田大卒。国家公務員1種試験合格(法律職)。2007年、農林水産省入省。2010年に朝日新聞社に移り、記者として経済部や富山総局、高松総局で勤務。2017年12月、弁護士ドットコム株式会社に入社。twitter : @Yuji_Shimoyama
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