富裕層は億の資産残高に全然ときめかない
同調査では富裕層の純資産が結婚や相続などでもらったものか(働かないで得たもの)、それとも自力で稼いだものかについての幸福度の違いも出ています。
それによれば、幸福度の大きさは「働かないで得た資産」<「自力で稼いだ資産」ですが、その違いはごくわずかなものでした。
以上の結果からもわかるのは、
●幸福度を高めようとする時に、「富裕層になる途上の人」は年収を上げるよりも貯蓄額を増やすほうが幸福度を高めることができる。
●富裕層の場合は、貯蓄額が幸福度に影響を与えるのはごくわずかゆえ、蓄財に血道をあげてもあまり意味がない。
ということになるでしょうか。
▼金持ちも非金持ちも「休暇、セックス、食事、会話」で幸福になる
ならば、富裕層はどうすれば幸福度が高まるのか。
ひとつは、本連載で何度か解説しましたが、経済学者ロバート・H・フランクのいう「非地位財」(※)にお金を使うことでしょう。
※非地位財とは、他人が何を持っているかどうかとは関係なく、それ自体に価値があり喜びを得ることができるもの。例えば、休暇(旅行)、愛情、健康、自由、自主性、社会への帰属意識、良質な環境など。これに対して、地位財とは、所得、社会的地位、車、家など他人との比較優位によってはじめて価値の生まれるもの。
もうひとつは、前出のカーネマンの調査でわかった「幸福度ランキング」のベスト5(セックス、おしゃべり、夕食、リラックス、昼食)に時間とお金をかけること。富裕層にとっては大した金額ではないですが、それだけで幸福度は大幅に上昇する可能性があります。
もちろん、以上2つの案は、富裕層だけでなく、富裕層を目指す一般人にもあてはることでしょう。幸福は案外身近なところにころがっているのかもしれません。
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