そもそも憲法は権力を抑制するもの
【塩田】今の自公政権と向かい合う対抗軸として、立憲民主党はどんな点を掲げますか。
【福山】1つは、草の根からの生活の暮らしの現場、働く現場の声を受け止めて政策に反映をさせていきたい。業界団体や大企業という形の自民党の支持基盤とは違うところから出発する。
2つ目は、多様性を大切にしたい。政策的にはLGBTや選択的夫婦別姓、さらに障害者に対する可能性が広がるような、多様性を確保する価値を政策として具現化していく政党としてやっていきたい。
3つ目は、経済政策でいえば、国民の可処分所得、実質賃金を上げるような状況をつくらなければならない。介護の現場や保育の現場で、人が集まらない状態になっています。多様性に加え、互いに支え合う社会をつくっていきたいと考えています。
マーケットメカニズムには一定の信頼を持っていますが、安倍政権のように効率性だけを重視して、すぐに結果を出せということが、本当に日本の将来の成長につながるかどうか、非常に疑義があります。可処分所得を上げて消費を喚起し、一定の成長を確保しながら、一方で技術革新や人材の育成を図っていかなければいけない。
大きな違いは原発ゼロ基本法の実現です。原発事故のとき、官房長官と副長官だった枝野さんと私が今、代表と幹事長です。原発ゼロ社会をつくる、燃料電池や、省エネ、技術革新、ライフスタイルの変化が日本の経済の種になると確信しています。未来に対する責任として、原発ゼロ基本法を国民のみなさんに提示をしていきたい。
【塩田】今年、国会では憲法論議が本格化しそうです。立憲民主党は。
【福山】憲法を議論すること自体は否定しません。ゴリゴリの護憲ではありません。しかし、必要だから憲法を変えてくれという声が国民から挙がり、国民の代表である国会が受け止めて合意形成しながら3分の2を形づくって発議し、国民投票にかけるというのが一定の方向性と思います。
今のように、憲法改正のテーマについて、自民党内もばらばらで、第9条の3項に自衛隊を位置づけると、もともと合憲であったものを、何のためにやるのか全くわからない。こんな憲法改正の議論はとても不健全だと思っています。
そもそも憲法は権力を抑制するものです。権力側にいるわれわれが、あれがいい、これがいいと言うこと自体、今の憲法論議のあり方、方向が違うと思います。議論することはやぶさかではありませんが、日本は法律でできることが圧倒的に多いので、私は今、憲法を変えなければ立ち行かなくなるようなことが実際あるようには思いません。