RPAを利用しているのは銀行だけではない。ある通販会社では、RPAの導入によって熟練スタッフ10名がしていた作業を新人スタッフ1名で処理できるようになったという。「ホワイトカラーの業務の半分はルーティンワークといわれています。RPAを使うことで、ビジネスパーソンは余った時間を別の仕事やプライベートにあてることができるようになります」。
転職希望者続出「通常の2~3倍」
そんな中、転職を希望するメガバンクの社員たちがここ半年ほどで急激に増えているという。採用コンサルタントの谷出正直氏は「感覚では、転職マーケット内のメガバンク社員は通常の2~3倍ほどになっている」と話す。
「各行はRPAで業務を減らした分は定年退職や新卒採用の絞り込みで賄おうとしているが、本当にそれだけで3万人を削減できるのかは疑問が残ります。もちろん、長引く低金利や仮想通貨の台頭で銀行の先行きが不透明なのも大きな不安要素ですが、たとえ会社が生き残ったとしても今後は人間が担当できる業務は限られてくるので、将来自分がやりたい仕事を本当にできるのかなどを銀行員は考えています」
この動きに人手不足に悩む介護業界や流通業界などが敏感に反応している。手先を使う職種や付加価値の高い営業職はAIに置き換わる可能性が低いとされており、そのうえで「メガバンクというお墨付きは大きく、20代の行員は人気」なのだという。一方で「30代以降は給料が高すぎるため、人気が落ちる」と谷出氏は説明する。