トライアスロンはほかの参加者とタイムを競い合うが、本質は自分との戦いだ。がむしゃらに泳いだり自転車を漕いだりしていると、「ちくしょう、負けてたまるか」と闘志が湧いてくるのだ。

平常のときは誰だってがんばれる。ところが、崖っぷちに立たされたとき、気力・体力が続かず、負けてしまう人が意外と多いと思う。瀬戸際でもちこたえるには踏ん張る力がいる。自分の場合、その力は、体を鍛えることによって培われた気がしている。

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月曜日がいちばん「自殺数」が多い!

さらに、走っているとリラックスできるし、インスピレーションが湧いてくる。皇居の周りを走っていると、「ここはセントラルパークに雰囲気が似ているな」などと思う。そこから連想が広がって、「日本には大人のための公園がない」「たとえコンビニのお弁当でも、公園でごはんを食べるだけでピクニック気分になれるのに」「ならばFrancfrancでガーデン用の椅子とテーブルを置けないだろうか」というようにひらめきが生まれる。もっとも現実問題として、公園の設備は規制が厳しく、実現は難しいかもしれない。しかし今は身近なところで生活を豊かにする商品がヒットする時代だから、考え方としては悪くないだろう。

僕の場合、こんな「ひらめき」が得られるのは、体を動かしているとき。それからさまざまな職業や年代の人と会話しているときなのだ。

僕はできるだけ偉ぶらず、自然体でいたいと思っている。会社ではたまたま社長だが、一歩街に出ればただの「おっちゃん」だ。だから20歳くらいの女子大生とも、朝まで盛り上がることができる。彼女たちの消費動向をつかむという目的であるが、いろいろなことを話すうちに、「キャバクラ嬢って、女の子のお姫様願望を満たす仕事でもあるんだな」などという本質もわかってくる。仕事の合間にスポーツの時間を取ることで、月曜の朝から元気に働くこともできるし、精神的にも自然体な「短パン、ビーサン」のスタイルでいられるのではないかと思っている。

(長山清子=構成 岡本 凛=撮影)