>>柴田励司さんからのアドバイス
年代別のキャリアの考え方を述べてきたが、年代で区切るのは古いと実は思っている。その代表が定年制だ。以前は人口が右肩上がりだったため、早く上の人に辞めてもらわないと下がつかえてしまったが、人口減少社会のいま、もはやその考えはマッチしない。
働きたい人は気力の続く限り働けばいい。そういうシニアが目指すべき働き方を「用心棒」と私は名づけた。上司ではないので命令はしない。名誉顧問のように、ただ鎮座している存在でもない。半ばボランティアだが命を懸けて村を守る、映画「荒野の七人」のような働き方をすれば部下からも慕われるだろう。
肝心なのは「心構え」で、「認められたい」「お金がほしい」とギラギラしないこと。生臭さを消して、ある意味解脱し、若い世代を純粋に支援しようと気持ちを切り替えることが肝心である。
これができない人は心のどこかに「本当は社長になれたはずなのに」「役員にはなれたかも」という未達成感があるはずである。組織におけるポジションにいつまでも固執しているという意味で、単線思考にとらわれている。そういう人には、一度でいいからマンションや近所の自治会の役員になってみることをお勧めする。経済合理性とはまったく違う世界で多種多様な人をまとめていかなければならず、自ずと人間力が鍛えられるのだ。うまくできるようになれば、会社の「用心棒」としても免許皆伝となるだろう。
シグマクシス代表取締役CEO●倉重英樹
1942年、山口県生まれ。早稲田大学卒業後、日本IBM入社。93年副社長。PwCコンサルティング会長、日本テレコム社長等を経て、RHJインターナショナル・ジャパン会長(兼務)。08年シグマクシスを設立。三菱商事特別顧問。
カルチュア・コンビニエンス・クラブCOO●柴田励司
1962年、東京都生まれ。上智大学卒業後、京王プラザホテル入社。在オランダ日本大使館出向、人事部、マーサー・ジャパン社長、キャドセンター社長を経て、08年より現職。デジタルハリウッド社長を兼務。週1回配信するメルマガ「柴田励司の人事の目」が好評。