世論調査でも意見の食い違いが
世論調査でも意見は食い違いを見せている。朝日新聞社による3月11、12日の世論調査では、受動喫煙対策の強化策とするレストランや居酒屋などの飲食店を原則禁煙とする厚生労働省の法改正案に「賛成」は64%で、「反対」の25%を上回った。男女別では、男性の57%、女性の71%が「賛成」だった。
一方、産経新聞社とFNNの合同世論調査では、飲食店を原則禁煙とする厚生労働省案がよいと回答した人は37.6%。これに対し、店側が「喫煙」「分煙」「禁煙」を選び、喫煙環境を店頭に表示するよう義務付ける自民党たばこ議員連盟の対案を支持する声が60.3%に達した。
この調査の「大きな差」について、ある自民党衆院議員はこう語る。
「まだまだ分煙ステッカーなどが認知されていないからかもしれない。このような店側の努力が広く知れ渡れば、"分煙先進国"への道が開けるかもしれない」
いずれにしても、このような世論の動向をにらみながら、賛成派、反対派は今後も舌戦を展開していくことになる。しかし、あまりにヒートアップすると、困惑してしまう議員もいるようだ。たとえば、自民党受動喫煙防止議連の山東会長もその一人のようだ。
「元々、山東さんは分煙対策をしっかりやれば問題ないという立場。しかし、"反喫議員"も多いなか、苦慮している」(自民党ベテラン衆院議員)との声も聞こえてくる。
煙と匂いで目立つスモーカー。嫌いな人にとっては迷惑な存在であることは間違いない。しかし、法律で認められている嗜好品であることも確か。この嗜好品によって、経営の根幹が揺らぐ危機感を抱く人たちが多いのも事実。果たして全面禁煙の道へ進むのか。それとも、分煙などによる共存の道を探るのか。それぞれの意見をくみ取りながら、難しい舵取りは今後も続く。