中国では鄧小平が一国二制度を打ち出し、経済特区に指定した珠海と深●(しんせん)を旗振り役にして改革開放路線を進め、漸次全国に広げて市場主義の導入に成功した。
中国の共産主義に負けず劣らず日本の中央集権制度は堅牢で、統治機構を一気に道州制に移行するのは難しい。これを打ち破るためにも、日本は一国二制度から再スタートするのだ。
橋下徹府知事の「大阪都」、大村秀章知事と河村たかし名古屋市長がタッグを組んだ「中京都」、泉田裕彦知事と篠田昭新潟市長の「新潟州」など、「自分たちにやらせろ」と名乗りを上げている自治体にその先陣を切ってもらう。政令指定都市を複数抱えた神奈川と福岡を加えて5つの広域行政区域で、土地の使用や建築基準などの自由を与えて、それぞれの「都構想」を実現させるのだ。
住民をハッピーにする方法論や世界から投資の金を呼び込む産業政策はそれぞれに異なるし、失敗もあるだろう。失敗してもいい。一つでも成功すれば、それに倣って自分で立ち上がろうとする自治体も出てくる。一つの成功例もないことが今の日本の問題なのだ。
中央依存のメンタリティから決別し、日本経済に新しい活力を呼び込むために、震災復興と同時並行で一国二制度の復興プランを発動すべきだ。
※●=土の右側に川
※すべて雑誌掲載当時