フィスコリサーチアナリストの飯村氏が注目する銘柄は次の3つだ。
「長い目で見て2017年は円安トレンドが続く、というのが私の予測。自動車業界が円安メリットがある銘柄の代表格ですが、トランプ氏は中国とメキシコの関税を厳しくすると発言しているため、そこでの生産比率の高い日産自動車やマツダよりもトヨタ自動車がポジティブです。また、日本車への関税の可能性を考えても、米国市場に傾注しすぎていない点で安心感があるでしょう。
インフラ投資関連でいえば、塩ビ樹脂の製造などを手がける信越化学工業に注目。子会社に北米ナンバーワンシェアを誇るシンテックを抱えているので、大規模なインフラ投資が実行されればトランプ需要の恩恵をダイレクトに受けられそうです。
さらに、防衛関連の銘柄も要注目。トランプ氏の発言による日米安保体制に対する不透明感から、防衛力強化の方向性が考えられているからです。具体的な銘柄としては、戦車や防衛機器の製造に関わる三菱重工業など。また、戦争やテロのような地政学リスクの発生やSARSのような伝染病の流行などにより、相場がリスクオフに傾いた局面にも防衛関連株が買われる傾向があります」
調整待ちで年内は様子見をしていた人も相当数いるだろうが、大きく市場が動いてからでは売買のタイミングを逃すことになる。
「押し目を待ちすぎていると良い相場が終わってしまうかも」と飯村氏。リスクオフの姿勢では、17年は乗り切れない。
トランプ氏の政策実行力への関心は高く、新政権に評価が向かえば強気相場が継続しそうですが、刺激的なトランプ発言にも振り回されることが予想されます。そのため、2017年はボラティリティの高い相場展開を想定。年に数回の波乱に対する覚悟も必要でしょう。特に日本株は他国リスクに弱いため、米国の動きに加え、欧州リスクやチャイナショック再燃などにも警戒しておきましょう。(フィスコリサーチアナリスト 飯村真由氏)
第一生命経済研究所 経済調査部・首席エコノミスト。経済財政諮問会議政策コメンテーター、総務省消費統計研究会委員、一橋大学大学院商学研究科非常勤講師なども務める。
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。ファイナンシャル・プランナー。相続士。各種投資セミナーを行うほか、多数メディアで執筆を行う。
フィスコリサーチアナリスト。独自の相場観と取材に基づいた銘柄選びに定評がある。毎月クラブフィスコで発売される「飯村レポート」は好パフォーマンスやストップ高を連発。