部長や執行役員に選ばれたとすれば、企業も取引先も、あなたが積み上げてきたキャリア、実力を認めている証拠。

「どう転んだとしても、何とかなるさ」と、自信を持ってください。論語には「徳不孤、必有隣(徳は孤ならず、必ず隣あり)」という一節もあります。懸命に仕事をしていれば、それを評価して助けてくれる人が、必ずまわりにいるもの。営業のスキルでも、財務のノウハウでも、何でもかまいません。どこに行っても通用するように自分の腕を磨いておけば、あなたを拾う神が間違いなく現れるでしょう。

もし企業に残れずに出向になったとしても、気にすることはありません。

「人間到る処青山あり」という言葉もあるじゃないですか。私の知人に、倒産寸前の鉄鋼会社に出向させられた人がいました。ところが、その人は会社に馴染んで、立て直しに腕を振るい、その後は再建専門の経営者として有名になりました。もし鉄鋼会社に出向しなければ、その人は大成しなかったかもしれません。出向先を新天地と心得、そこの仕事で最善を尽くせば、自ずと道は開けてくるはずです。

▼江上 剛さんに学ぶ50代の振る舞い方「3カ条」

1. 捨てる力を身に付ける
欲や見栄を捨てると、成すべきことが見えてくる
2. 「○○のに地獄」から抜け出す
恨み事をいっても自分の心が疲弊するだけ
3. 「人間到る処青山あり」と心得る
出向になっても、そこの仕事を大切にすれば、道は開ける

江上 剛
1954年生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)に入行。人事部、広報部や各支店長を歴任する。そうした銀行業務の傍ら、2002年に『非情銀行』で作家に。03年に退職し、執筆に専念する。『不当買収』『企業戦士』『 小説 金融庁』などリアルな企業小説を数多く発表。最新刊に『会社という病』がある。
(野澤正毅=構成 柳井一隆=撮影)
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