「ナンバーワン」でなければならない

【弘兼】熊谷さんはインターネット企業を率いながら、アナログな手帳を使い続けているところが面白い。

【熊谷】スマホ、パソコンでもスケジュール・目標管理をしていますが、想起デバイスとしては紙の手帳が一番です。夢を実現するには繰り返し、思い返すことが必要。潜在意識に叩きこまなければならない。自分で繰り返し書いた文字や写真を手元に置いて見るには手帳しかない。

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売上高と営業利益の推移

【弘兼】GMOが倒産の危機を乗り越えて、今も生き残って成長しているのはなぜだと思いますか。

【熊谷】人には寿命があり、時間というのは命そのものでもあります。会社というのはスタッフの命を捧げてもらって成り立っています。だからこそ僕は、会社は続かせなければならないものだと考えています。20代の頃から、競合相手が現れても負けないためにはどうしたらいいのか、競争力を失わないためにはどうしたらいいのかを考え続けてきました。その結果、電気やガスと同じように消えてなくなることのない、インターネットのインフラやサービスインフラに経営資源を集中させてきました。また、生き残るためにはナンバーワンでなければならない。現在展開している、ドメイン事業、レンタルサーバー事業はシェア数、決済事業は決済額の規模で、国内ナンバーワンです。これらのサービスは一度契約してもらうと、継続的に収益が入ってくるストック型のビジネスなので経営も安定します。

【弘兼】長く続く会社にするために、インフラ、ストック型、ナンバーワンであることにこだわった。今度は、あおぞら銀行と提携してネット銀行を運営されるそうですね。いわゆる「フィンテック」と呼ばれるIT技術を使った新たな金融サービスに乗り出すわけですが、これも「長く続く会社にする」という考えに沿ったものなのでしょうか。

【熊谷】金融事業というのはインターネットと非常に親和性が高い分野です。僕らが強みにしてきたドメイン事業、レンタルサーバー事業では、必ず決済が必要になるからです。また、インフラ事業と同じで、経済のインフラにあたる銀行がなくなることもありません。さらに、融資や決済で収益を上げることは、ストック型のビジネスでもある。――実は、金融事業は今までGMOの手がけてきた事業の延長線上にあるのです。この分野を今後はさらに強化していきます。