相手の話を聞き、洞察力を発揮すること

まず、クライアントの話を良く聞くこと。これには共感的に聞くことが求められます。日頃感じている問題点を十分に聞きだすことが必要なのです。

次に、クライアントの話をインプットにして、さまざまな視点から分析し深く洞察すること。そして、とりうる方策について、親身になって相談に乗り、さらにスムーズに実行に移せるように、関係者(ステークホルダー)との協力の仕方や段取りをアドバイスすること。

こういうふるまいが、良いコンサルタントには求められます。つまり、コンサルタントは自身の専門性だけではアドバイスできないことになります。相手の話を共感的に聞くスキル、ビジネスの基本的な常識、置かれている状況から対応方法を考えるための洞察力、相手への伝え方を工夫するための心理学など、多面的な能力が必要なのです。

経営手法をたくさん知っているだけでは、良いアドバイスはできません。業界のことを良く知っているからといって、経営コンサルタントとはいえません。最新のテクノロジーを知っているからといって、それだけではITコンサルタントとして評価されません。

もちろん、専門性が要らないと言っているのではありません。専門性は必要です。ただ、専門性と同じく、コンサルタント/プロフェッショナルとしての汎用的なスキルも必要ということなのです。専門性に加え、プロとして必要な汎用的なスキル、つまり、共感的に聞く力、洞察する力、大局的な思考力などを総動員して、クライアントのためになることをするのです。そうすることによって、クライアントからの信頼を得られ、継続した関係が築ける。こういうことなのです。

いかがでしょう?キャリアアップするために、専門性を磨くことばかりに力を入れている方。ムダとは言いませんが、少しだけ考え方を変えてみませんか?

参考文献-----------

『選ばれるプロフェッショナル』
 ジャグディス・N・シース、アンドリュー・ソーベル著、羽物俊樹訳、英治出版

http://www.skylight.co.jp/topics/books.html