多くの夫婦がどんぶり勘定で家を購入
実際、会社員のBさん夫婦(40代)は、子どもができるだろうと予想して、結婚直後に、郊外にマイホームを購入したものの、不妊治療の甲斐なく、子どもはできなかった。
広くて掃除が大変だし、通勤にも不便なため、結局Bさんは、その家を売却し、都心のマンションに引っ越したという。売却損は数千万円にものぼり、タイミングを誤った代償は大きい。
さらに、(1)の場合、住宅ローン返済がきちんと継続できるかも気にかかる。
毎月の住宅ローン返済額と家賃は同程度であっても、年間で計算すると、大きな違いがあるからだ。
お互いが独身時代に、頭金や自己資金をしっかり貯めて、「これだ!」という物件に出会ったらというなら、話は別。ところが最近の20~30代は、学生時代の奨学金返済が残っているケースも多く、冒頭のAさんも、ようやく奨学金の返済が終わったところだ。
とくに、共働きカップルが、結婚直後にマイホームを購入し、その後子どもができて、妻が退職するようなケースでは、妻の離職によって、世帯収入が大きく減少。さらに子育て費用や、住宅ローン返済に追われ、家計がうまく回らなくなる可能性も高い。
もちろん、結婚直後にマイホームを購入して、家計管理もきちんとしているというご家庭もたくさんあるが、子どもが生まれると、家計はドラスティックに変わる。「どんぶり勘定」のままで見切り発車すると、破綻のリスクも低くない。
「頭金0円でO.K.」といったセールストークに惑わされないよう、購入後のコストも含めて、ちゃんと家計のやりくりができるかをシミュレーションしておくことが重要である。