英語の「評価方法」はこの10年間進化した

三宅義和・イーオン社長

【三宅】英語の指導は、英語の評価と表裏一体の問題です。特にスピーキング指導を行う場合、それをどのように評価したらよいのかはとても難しい問題です。例えば5段階評価でもスピーキングスキルも加味して、どうやって「5」や「1」をつけるのか、とまどう学校の先生もいらっしゃいます。現実には1技能ずつ評価するわけではなく、4技能を統合して評価するのでしょうが、学校教育の場合、先生はどのようにスピーキングの指導と評価をするのが望ましいとお考えですか。

【安河内】スピーキングやライティングの評価方法は、この10年間でめざましい進化を遂げました。CEFR(ヨーロッパ言語圏の国際標準規格)を軸に、世界中のテスト機関が、競争し合い、協力し合い、評価の妥当性と公平性に関しての研究を重ねてきました。現在ではそれに従い、発話の各側面を世界標準に準拠した形で測定することができるようになってきています。

また、このような評価方法の概略は各テスト機関から原則として公表されており、それを学校現場でも活用することができます。ただ、学校の場合には、それに「コミュニケーションをとろうとする態度」という非常に重要な指標が加わりますね。単純に発話を客観的に分析するだけでなく、姿勢や態度を大きな指標として評価することが、学校の現場では重要だからです。

【三宅】社会人へのテストの話がありましたが、スピーキング指導はいかがでしょうか。例えば、センター試験の英語は満点、あるいはTOEICスコアは900点を超えているという人でも、実際には「話せない」という日本人もすくなくありません。ですが、今後の英語教育改革が進めば、将来、英会話のできる新入社員、部下が会社に入ってくるかもしれません。いま英会話が苦手な社会人は、どのようなことに取り組んでいったらよいとお考えですか。

【安河内】あたりまえのことを言うと、リスニングできるようになりたければ、リスニングテストを目標にすればいい、リーディングができるようになりたければ、リーディングテストを目標にすればいい、ライティングができるようになりたければ、ライティングテストを目標にすればいいわけです。最近、何かと話題に上るTOEICリスニング・リーディングテストですが、どんなに得点狙いだと非難される裏ワザを用いたとしてもこれで高得点がとれる人は、リスニングとリーディングの最低実力は持っていると判断してよいと思います。

ただスピーキングの能力はわかりません。測ってないわけですから。だから、スピーキングができるようになりたい人は、スピーキングテストを目標にすべきなのです。それなのに、社員のスピーキング力を伸ばしたい企業が、別技能の試験を使用するというのはナンセンスだと思います。イーオンさんも英会話学校なのですから、生徒さんの効果測定をする方法にスピーキングテストを使用されるとよいと思います。