セブン、ローソン、ファミマの3社寡占のゆくえ

澤田氏の起用は、伊藤忠商事の同期で、統合後の持ち株会社で副社長となる現ファミマの中山勇社長が打診に動いた。この点について、上田氏は「統合でコンビニ事業は国内1万7000店を超える規模になり、海外展開もある。これだけフィールドが広がれば中山氏が1人でマネジメントするのは相当エネルギーがいる。持ち株会社の一体運営も中山氏に補佐してもらいたい」と、統合後の新体制を発表した2月4日の記者会見で語った。

さらに、「澤田氏は小売業に造詣が深い」と澤田氏に白羽の矢を立てた理由を挙げた。確かにコンビニ経営が未知数とはいえ、澤田氏はクリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパンやロッテリアといった外食小売りを中心に数多い企業のマネジメントを手掛けた実績があり、新生ファミマのトップとしてコンビニ業界に新風を吹き込む可能性がある。当の澤田氏も「これだけ大きなスケールの会社で経営に携われることにワクワクしている」と意欲を見せる。

しかし、ファミマ、ユニーの経営統合で最大の課題となるファミマ、サークルKサンクスの一体化に向けた手腕は、就任当初から試される。計画に沿えば、全国に約1万1000店あるファミマと約6000店のサークルKサンクスのブランド統一を19年2月までに終えなければならない。ユニー時代に「サークルK」「サンクス」の共存を解消できずにきた経緯もあり、澤田氏にとって多大な力仕事になることは容易に想像がつく。

一方、国内コンビニ市場は店舗数で5万5000店を超え、飽和感も強まり、セブン、ローソン、ファミマの大手3社の寡占化が進むなかで新たな段階を迎える。その意味で、今後の焦点は日販をはじめ収益面でセブンが独走するなか、新生ファミマとローソンの追い上げに移る。セブン追撃の好敵手としてその鍵を握るのが同門のプロ経営者同士というのも何らかの因縁を禁じ得ない。

(宇佐美利明=撮影)
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