米で成功すれば世界基準になる

【田原】山田さんは、自分はリバタリアンだとおっしゃっている。

【山田】国という枠組みがあることで秩序が保たれていることは理解しているし、それを否定するつもりはありません。ただ、僕はいいサービスをつくって、できるだけ多くの人に使ってもらいたい。そのために規制は少ないほうがいいし、国境も自由に越えられたほうがいい。その意味でリバタリアンと言っています。

【田原】実際、メルカリは早くから世界を視野に入れていますね。

【山田】いまアメリカでやっているのですが、早くヨーロッパもやりたいし、いずれは途上国まで広げたい。最終的には、日本で車を出品したら、アフリカの人が買うみたいな世界をつくっていけたらいいなと。

【田原】いまアメリカには何人いらっしゃるんですか。

【山田】約30人です。ダウンロード数で言うと、500万~600万。アメリカでは販売手数料無料でやっているので売り上げはゼロですが、やろうと思えばすぐ黒字化できるという段階まできています。

【田原】なぜアメリカからなんですか。世界を攻めるなら近場のアジアからという考え方もあると思うけど。

【山田】アメリカが世界の縮図だからです。アメリカの多様な人種の中で受け入れられるサービスをつくれば、世界のどこででも通用します。実際、フェイスブックやグーグルなど、世界中で使われているインターネットサービスはほとんどアメリカ発。アメリカは市場の競争が激しく、人件費も高くて大変ですが、アメリカで成功しなければ世界はないと考えています。

【田原】日本発じゃ無理ですか。

【山田】日本からだと、自分たちは世界に向けたつもりでも、どうしても日本っぽいサービスになってしまうんです。僕たちもアメリカに行ってはじめて、何がユニバーサルなサービスなのかがわかりました。

【田原】具体的に言うと?

【山田】文字に頼った説明はダメですね。日本では商品にいろいろ注意書きがついているのが普通ですが、アメリカだと文字の説明がなくても一目で「これはやっちゃいけない」とわかるデザインにしないといけない。僕たちもやっているうちに日本版はごちゃごちゃ説明が増えてしまっていたので、いまはアメリカ版に合わせてすっきりさせました。