しょっぱなからハードルを目指す人はいない
【みうら】為末さんは初めからハードルを目指してたんですか?
【為末】最初は短距離ですね。
【みうら】しょっぱなからハードルを目指す人っていないですよね。
【為末】そうですね(笑)だいたいみんな100メートルからスタートしていって、そこから分岐していきますね。
【みうら】走っているうちに「僕はハードルが得意だ」ということに気がつくということですか?
【為末】その気づきは敗北とセットなんですよ。100メートルの世界って才能のある選手が大勢いて、集約されていくうちにもう絶対勝てないなと思うようなやつが出てくるので、「ちょっと厳しいな」と思ったときに転向することが多いですね。
【みうら】背の高い人や脚の長い人がいますけど、それによって差は当然出るんでしょ?
【為末】やはり大きいほうが有利だと思います。ハードルの高さは91cmでメダリストの平均身長は187cmです。僕は170cmなんですけど。
【みうら】たぶん一般の人って体育の授業くらいでしかハードルをやってないから、もっと低いものだと思ってますよね。本当はそんなに高いんですか。
【為末】高いです(笑)だから身長が高いほうが有利だと思ってたんですけど、長いと小回りが利かないのか、脚が長い選手は最後に引っ掛ける感じがあったんですよ。こっちは脚が短いので、そのぶん上手にやれていた気はしますね。