4年制の大学新卒が病院に就職する場合、1年目の年収は350万~500万円といったところだ。ずいぶんと幅が広いのには2つの理由がある。まず、民間病院の場合、看護師ニーズの高い大都市部とそうでもない地方部の格差がけっこうある。また、公立か民間かを問わずして、勤務する職場の夜勤の多寡で収入が大きく変わる。

夜勤手当自体の病院間格差も大きい。例えば3交代制の準夜勤(午後4時.午前1時など)は3000~7000円、深夜勤(午前0~9時など)は4000~9000円、2交代制の夜勤(午後5時~午前9時など)は1万~2万円というように、手当の額が病院ごとにピンキリなのだ。基本給はどこも似たような額だが、夜勤をはじめとする各種手当の「単価×量」によって、看護師の年収は最初からだいぶ違ってくる。

そして、ゆっくりと昇給していき、勤続10年で500万円台の半ばに届けばまあまあ、20年で600万円超えたらいいね、といったところが、おおよその相場だ。

病院や職場によって給与の額は大きく違う。とはいえ、収入アップだけのために転職をする看護師はあまり多くない。

看護師のキャリアカウンセリングなどを行うNPO法人看護職キャリアサポート代表の濱田安岐子氏は、こんなふうに説明する。

「もちろんお金は大事です。でも、お金の切り口からだけでは、看護という仕事の本質は決して見えてきません。なぜなら、看護学生の就職にしても、お給料の額で病院の比較なんかしていませんから。それよりもその病院が自分を一人前の看護師に育ててくれるところかどうかを重視しているんです。なので、新卒の看護師が欲しい病院は、大学や看護学校の説明会に出向き、自分たちの看護師教育体制の充実ぶりを、懸命にアピールしています」