対して、広告代理店の博報堂に在籍していたネットニュース編集者の中川淳一郎氏は超合理的だ。
「使えるものは何でも使うのが、広告代理店マインド」という。
「例えば社内には、飲食店の最新事情にやたらと詳しい人が何人もいます。信頼できる情報源の協力を得られるよう、普段から信頼関係を構築しておくことで、店選びの時間を短縮できます」(中川氏)
広告代理店の業務は外部に発注することも多い。つまるところもてなし上手は仕事上手。ちなみに代理店は服装が自由とはいえ、中川氏のようなスタイルは珍しい。
「これ、LINEのTシャツで、社員の方からいただいた非売品なんです。珍しいから話のつかみになるし、トレンドを押さえているふうも装えますから」(中川氏)
とりわけクリエーティブ部門は説得力や「わかってるな感」の演出が業務的なスキルにつながる。
「だから宴会ではチェーン店はほとんど使いません」(中川氏)
業種ごとに業界スタンダードがあり、微妙な差異はある。一方でどんな業界にも通底する3つの鉄則がある。
(1)キーマンのスケジュールは、直接押さえ、店も早めに決める。
会の主役はもちろん、社内外を問わず上司など要職のキーマンの予定は「社外で2カ月前、社内でも1カ月前には」(木村氏)、「できれば直接会って、難しければ電話」(児玉氏)で押さえたい。
店選びは宴会につきまとう悩みだが、3者とも対策は基本的には同じ。キーマンへの気遣いをベースに組み立てる。「相手の嗜好を押さえたうえで、サプライズ感のある店選びがベスト」(児玉氏)、「帰りのこともあるし、得意先との宴会なら先方の会社の近く」(木村氏)、「締めのラーメンまでキーマンの嗜好を押さえて展開を組み立てる」(中川氏)。