なぜ、人と長く付き合えないのか?

それに関連して「先義後利」という言葉もあります。先に世の中のためになる「義」を考えるべきだという意味ですが、「義」を優先した行動が、結局は自分にも利をもたらすということをも意味しています。「先利後義」ではいけないのです。

昨今の東芝、東洋ゴムなどで発覚した不正を見ていると、経営者にしっかりとした基軸がないことが原因のような気がしてなりません。しっかりした生き方の教育を受けなくなっている昨今、「考え方」がしっかりせず、組織を混迷に導いているリーダーが増えているのではないかと懸念しています。

(3)「君子の交わりは淡きこと水の如し」(荘子)「晏平仲(あんぺいちゅう)善く人と交わる、久しうして人之を敬す」(論語)
著者の小宮さんが繰り返し読んでいるという『論語の活学』(プレジデント社・安岡正篤著)。この中にも、先人の失敗や成功に学ぶ要素が満載だ。

一方、古典には人との付き合い方を示しているものも少なくありません。『荘子』に「君子の交わりは淡きこと水の如し」とあります。君子(立派な人)同士の交わり方というのは水のように淡いが、友情は長く続く、という意味です。

誰と付き合っても、一時だけは濃い付き合いをしても、長く続かない人がいます。そういう人はやはり、人間の中身がしっかりしていないので、立派な人ではないのです。私が最も好きな言葉は、『論語』にある「晏平仲(あんぺいちゅう)善く人と交わる、久しうして人之を敬す」です。

晏平仲は孔子の時代の高官ですが、人とよく付き合ったのです。そして、長く付き合うほどに人々は彼を尊敬したと言います。とかく長く付き合うほど、ボロが出てしまうものですが、付き合えば付き合うほどに尊敬されるというのは、よほど人間ができていて、ぶれることなく、そして、向上し続ける人だということです。