もう海外に行く必要はないのか?
今、私は人生で2回目の米国生活をしています。今回の滞在は、今年で15年になります。振り返ってみるとあっという間のことでした。人生の3分の1近くの時間を米国で過ごしていても、まだまだ言語の壁、文化の壁にぶち当たることは日常茶飯事です。とくに年を取ってからの滞在は、仕事関係の付き合いが多く、仕事上の会話などは問題ありませんが、フットボールなどのことや、流行っている映画やテレビ番組のこと、アメリカの政治状況、アメリカ人の宗教観や家族観などは、まだまだ知らないことだらけです。それくらい、そこに住んでみないとわからないことがたくさんあります。
島国である日本では特に、海外に出たがらない=内向き志向の構図ができてしまいがちです。今の若い人たちは海外に出たくないという消極的な姿勢であると考えることもできますが、単に海外で生きていくことへの興味が減っている、という考え方もできると思います。
日本は経済大国となり、わざわざ海外に行かなくても十分満足できているということもあると思います。外国製品でも日本で手に入らないものはほとんどありませんし、珍しくもありません。日本が世界で最も優れていることもたくさんあり、わざわざ海外に学びに行くという動機付けも弱くなりました。インターネットの普及などで海外の情報もリアルタイムで得られるようにもなりました。旅行で行ければ十分、わざわざ暮らそうとは考えないのも無理もありません。