「日本海に沈む夕陽」に中国人は感動する
中国の都市部の富裕層では「北海道」がトレンドになっている。この数年、北海道で人気を集める宿泊施設に「ハマノホテルズ」がある。同社では北京駐在の経験を持つ角田貴美常務が、中国人向けの企画に取り組む。角田常務は「これからは団体客に加えて個人客も増えます。従来型の観光に加え、新たな視点も必要でしょう」と話す。
「今年1月、弊社経営の『旭岳温泉ホテルディアバレー』で北京から来たお客様を対象に『雪遊び』を企画したところ、大変喜ばれました。本来はその後に別の予定があったのですが、皆さんの希望で、以降の予定をキャンセルして、雪合戦やそり遊びを楽しんでいただきました。お客様が心底喜ばれている姿を見て、求められていることは大掛かりなイベントだけではないのだなと、あらためてわかりました」
角田氏が北海道への旅行経験のある中国人に「どこにいちばん感動しましたか」と質問したところ、その答えは「日本海に沈む夕陽」だったという。
「考えてみれば、中国からは地理的に『日本海に沈む夕陽』を見ることはできません。私たちが気付いていないところに、まだまだすばらしい観光資源があるのではないでしょうか」
1967年生まれ。北京大学、香港中文大学に留学。新聞記者を経て、96年にジャーナリストとして独立。近著に『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか? 「ニッポン大好き」の秘密を解く』(中公新書ラクレ)がある。