第3者委員会が社長につけたお墨付き
室町社長は2008年6月から11年6月まで半導体デバイス事業グループの責任者を務めていた。その間、このデバイス事業グループでも不適切会計が行われていたことは第3者委員会の報告書をみれば明らかだ。
半導体事業における在庫の評価等では09年度には44億円、10年には16億円、11年度には103億円の修正が行われている。
「室町社長自身も第3者委員会のヒヤリングは受けています。その上で、問題ないということになった。だから室町社長の名前は報告書にも出てきていません」
東芝の広報担当者はこう説明する。しかし仮に直接指示をしていなくても、事業部内での不祥事を把握できずに放置していたとしたら、それは監督責任が生じるのではないか。自分が監督してきた事業部の不正すら見抜けなかった役員が、今度は東芝全体の経営の実態をきちんと把握し、改革するということができるのだろうか。今回の有価証券報告書の提出の遅れもそうした甘さがもたらしたものではないのだろうか。
「人の噂も七十五日」とその場をつくろうような対応では困る。東芝の経営陣がもっと、危機意識をもって取り組んでいかなければ、問題はさらに深刻さを増していくことになるだろう。