高度250メートル以下なら飛行自由

【ドローン規制】ドローンが普及するにつれて、飛行中にコントロール不能になって落下したり、空港近くで航空機と異常接近したりといったトラブルが世界各地で発生している。

ところでドローンは(日本の場合)、おもちゃの模型飛行機で「航空機」ではなく、空港周辺以外では、旅客機が飛ぶルート直下で高度150メートル未満、それ以外の空域では高度250メートル未満なら、原則として無届で飛ばせる。首相官邸や皇居上空も例外ではなかったが、官邸事故ショックを受けて規制問題が急浮上し、2015年夏、「国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等及び外国公館等の周辺地域の上空における小型無人機の飛行の禁止に関する法律」が衆院を可決した。その直後、ドローン登場に対応した航空法の一部を改正する法律案が閣議決定されている。

ビジネスへの活用プランは目白押し

【ビジネス利用】軍事利用はひとまず置き、ここでは商用利用についてのみ述べる。送電鉄塔の点検に使いたいとか、広大な農地の作物の生育状況を調べたいとか、人が簡単に入れない地域を空から取材したいとか、企業の関心は高い。ふつうのロボットと同じように、単調な仕事や危険な仕事、汚い仕事、人間ではできない仕事をドローンにやってもらうわけである。

日本でも5月下旬、商用利用をめざして「国際ドローン展」が開かれ、日本やアメリカ、中国などの約50社が出展している。

米連邦航空局は2月、商用ドローンの法規制に向けた原案を発表している。主な内容は、「500フィート以下の空域で重さ55ポンド以下のドローンを日中、操縦者、もしくは立会人が目に見える範囲内(visual line-of-sight)で飛ばすことができる。操縦者は免許を必要とする」というもの。米当局は現在、商業利用の無人航空機を屋外で飛ばすことを原則禁止しているが、FAAは「5年以内で一般の都市上空をドローンが飛べるようになる」ことをめざしている。

ところでこの案は、早くからドローンによる宅配計画(30分以内配送サービス。Prime Air)を進めてきたネット通販最王手のアマゾンには痛手となった。そのため同社は7月、米航空宇宙局主催の会合で空を高度ごとに区分し、宅配用などの「高速ドローン専用空域」を設定することを提案した。

同案によれば、500フィート以上は一般の有人飛行機、500~400フィートは緩衝空域、400~200フィートが高速ドローン専用空域、200フィート未満を個人利用やビデオ撮影などの一般利用空域にするとしている。高速ドローン専用空域では、視認範囲内などの制限は解除することを求めている。