セブン-イレブンを脅かすのは誰か
また、コンビニで大事なのは毎日何かの理由で使ってもらうことです。来店頻度を上げるために彼らはサービスに着目。宅配便の取り扱いやチケット販売、公共料金などの収納代行、ATMの設置などを行い、既存店売上高の向上に取り組んだ結果、「コンビニに行けばたいていの用は足りる」と、生活者に支持されるようになっていきました。
現在、小売業で頭一つ抜けている企業は、セブン-イレブンを収益の柱とするセブン&アイ・ホールディングスです。セブンプレミアムに代表される、リーズナブルだが安売りではない商品の開発に注力し、リアルからバーチャルまで生活者とあらゆる場所で接点を持ち、買い物を可能にするオムニチャネルの取り組みでも先行しています。
今後、同社を脅かす存在が出てくるかどうか。可能性があるとすれば、アマゾンに代表されるネット系の小売業でしょう。アマゾンは書籍でつくり上げた仕組みとインフラをベースに取り扱いアイテムを総合化させ、あらゆる領域の需要を取り込もうとしています。リアル店舗もネット販売を行うようになっていますが、ネット専門店に比べると在庫管理が甘い。カード決済の顧客データを持っているのもネット系小売業の強みです。
セブン&アイが徳川幕府のように長期政権となるのか、アマゾンがそれを転覆させる黒船となるのか。流通業の戦国時代はまだまだ続きそうです。
ブレインゲイト代表取締役。1953年生まれ。学習院大学法学部卒。企業のマーケティング戦略、ブランド戦略の第一人者。100社を超える有名企業のコンサルティングを行う。最新刊『全史×成功事例で読む「マーケティング」大全』が大好評。