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(右)加齢と高血圧の危険な関係(左)高齢者の医療費の3分の1は高血圧性疾患

高血圧性疾患には特有の自覚症状はない。動脈硬化になって初めてめまいや首筋や手足のしびれなどを感じるくらいだ。高血圧性疾患の恐ろしいのは、動脈に圧力がかかり続けることで血管が破れやすくなること。そして脂質が溜まりやすくなり、血管を詰まらせてしまう。

たとえば、心臓なら心筋梗塞、脳では脳血管障害、腎臓では腎不全などを引き起こす。「ひどい自覚症状を感じたときには、もう手遅れということも少なくありません」(工藤医師)。

これが高血圧性疾患がサイレントキラー(沈黙の殺人者)とも呼ばれる所以。糖尿病と同様、高血圧性疾患の恐ろしさは、これらの合併症にあるのだ。血液検査で血圧が高い数値を示したら合併症を疑い、精密な検査を受けることをお勧めする。

高血圧性疾患の予防は、とにもかくにも血圧測定。血圧の測定は従来の基準では、高血圧は129mmHg以下、最低血圧は84mmHg以下が健康であると判定されていた。「新基準」では、最高血圧が88mmHg~147mmHg、最低血圧は51mmHg~94mmHg。最高血圧と最低血圧のどちらか一方が高くても高血圧だが、新基準では下限の数値が定められ「基準範囲」を設けている。

数値の違いに戸惑うかもしれないが、そもそも人間の血圧は一定ではない。朝と夜、夏と冬、測定する機器や手順によっても変動する。また、家庭で測定すると正常値でも、病院で医師や看護師を前にすると緊張して血圧が上昇する「白衣高血圧症」と呼ばれるものも多い。

「自宅でリラックスした状態で測るほうが正しい血圧が測定できる場合もありますが、逆に家庭での血圧のほうが高いものは“仮面高血圧”といい、要注意です。血圧管理は自分の正確な血圧を把握することから始まります」(工藤医師)

健康診断の結果が基準値内でも、深酒の翌日、寝不足の朝などで血圧がどう変化するのか。環境や状態で変動する血圧を知ることは健康管理に欠かせない。最近では家庭用の血圧計も手頃な価格で販売されているので、毎日同じ時間に同じ状態で血圧を測る習慣を心がけよう。