5 自己演出 なぜ、会議に1秒も遅れないのか

昨年12月、総選挙の演説で福島県相馬市に行ったときのこと。地元のおばちゃんたちがおにぎりと豚汁を用意してくれていた。進次郎は「旨い、旨い」とマイクを通して言う。ただ、次の遊説地へ移動しなくてはならず時間がない。そこで彼が、

「じゃあこれ、車の中で食べるから持ってっていいですか」

と言うと、どっと沸いて盛り上がるのだ。普通の政治家なら2、3口食べて「ごめんなさい、時間がないから」と言い訳がましくなるが、進次郎はまったく別の行動を取る。彼がやるとわざとらしさが見えないところもいい。そこでファンがまた増加するのだ。

今年の正月にも横須賀でサッカーチームの初蹴りイベントに参加した。そこでも炊き出しのカレーを振る舞われたが、少し食べた後で皿を持って立ち上がり「車の中で食べよう」と言った。ここでも好感度は大きくアップした。

進次郎が自民党青年局長時代、青年局の昼食会が毎週金曜日に開かれていた。そこで彼は若手議員に国会での作法を教えていたのだが、

「会議には1秒も遅れてはいけない。議連は時間にうるさい。1秒遅れてもうるさく言われるから気をつけてください」

「会議が重なって中座することもあるが、自分のしたい質問だけして、答弁を聞く前に退室するのはよくない」

「委員会で質問するときは、カメラのほうを向かずに大臣を見ること」

という実用的なアドバイスをしている。ぶら下がり取材のときでも、一切カメラ目線にはならず質問者の目を見て話す彼は、どんな場面でも、目の前にいる人に対して非礼にあたるかどうかを常に考えている。

移動中にも、寝ることはほとんどなく資料に目を通し、現地の案内役を質問攻めにして予習する。入念な下調べは、やはり訪れる土地の強みを知り、初対面の人々とも一瞬で心の距離を縮める演出なのである。 (文中敬称略)

小泉進次郎氏プロフィール
1981年4月14日生まれ。AB型。88年、関東学院六浦小学校入学、以来中学・高校・大学と関東学院。2009年、衆議院議員初当選。13年、内閣府大臣政務官・復興大臣政務官。趣味は、野球、サーフィン、ゴルフ、読書、落語。嫌いな食べ物は、生のトマト。幼稚園時代のクリスマスプレゼントは山盛りのヤクルト。疲れたときは栄養ドリンク「レッドブル」。
(構成=青柳雄介 写真=時事通信フォト)
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